なぜ2030年に向けて、既存企業の淘汰が相次ぐと予測されるのか?
今、これまでの競争環境を根幹から変えてしまう劇的変化が現在進行形で発生しています。その変化の源が、コンバージェンス(技術融合)です。
コンバージェンス(convergence)とは、本来、収束や統合という意味ですが、MITメディアラボ創設者のネグロポンテがきっかけで、「個々に分断されたテクノロジーの融合により、新たなサービスやテクノロジーを生み出す状態」を表す言葉として使用されるようになりました。(※会計基準の国際間の差異縮小を指す、コンバージェンスとは異なる用法。)
この既存技術を巧みに組み合わせ、有機的な融合技術とするコンバージェンス方式を活用すれば、無数に存在する組み合わせを最適化することで、素早く新技術やサービスを生み出すことができます。莫大な時間と労力のかかる最先端技術の研究開発が不要となるため、開発コストを最小限に抑え、機動的に市場獲得が可能になるため、戦略次第で生存率を一気に高めることが可能です。
有名な事例では、第二次世界対戦中、アメリカ自動車製造大手のフォード(Ford)社の工場視察にきたヘンリー・カイザーはそこで、あらかじめ別々の工場(ライン)で生産された部品を溶接することで成形し生産効率を高めるプレハブ(プレファブリケーション)工法を学び、それを参考に短期間で新しい造船方法を開発。この革新的技術によりカイザーの造船所では他の全ての造船所の平均に対し、船舶一隻あたり2/3の時間と1/4の費用で建造され、低コスト短納期で造船を可能にし、近代造船の父と呼ばれるようになりました。
近年の例では、Apple(アップル)社CEO、スティーブ・ジョブズはコンバージェンスの達人としても知られており、初期のiPhoneは、最先端技術の使用に拘らず、まさにコンバージェンスの妙によって生まれた、代表的な製品とされています。
なぜ今、コンバージェンスなのか?と言うと、これから本格的に5G〜6Gの時代に突入し、世界中の膨大なデータや既存の技術情報が瞬時に共有されるようになると、テクノロジー進化の波が急速に融合し、指数関数的に新たな技術革新が生まれる環境が整いつつあるからです。
そして2030年までに、量子コンピュータ、クラウド、Iot、AI、ロボティクス、ナノテクノロジー、自動運転、XR(メタバース)、ブロックチェーン、ドローン等の先端技術が相互にコンバージェンスを起こし、破壊的イノベーションが爆発的に生まれ、世界経済をリードすることは、確実視されています。
テスラやスペースXのCEOであるイーロン・マスク氏のパートナーであり、民間宇宙ビジネスのパイオニア、ピーター・ディアマンディス氏は、コンバージェンスに関する著書(「2030年 すべてが加速する世界に備えよ」ピーター・ディアマンディス&スティーブ・コトラー著/株式会社ニューズピックス/2020年12月22 日発行)の中で、「これからの10年で、これまでの1世紀を上回る富が創造されるだろう。」と述べています。
この巨大トレンドの中で、コンバージェンス戦略が巧みな企業は、持続的な生存/発展を遂げる反面、変化に対応できない多くの企業が淘汰されていくと予想されています。勿論、大企業も例外ではなく、現時点のアメリカのFortune500(フォーチュン500)企業の40%程度が2030年までに消えると予測するイェール大学の研究があります。その一方で、未知のスタートアップがNext GAFAMとして次々に誕生することになるでしょう。
高齢化と人口減少が常態化した日本企業の盛衰は、グローバル市場にどう食い込めるかに掛かっていますが、過酷な生存競争を生き抜くには、先人が残した世界有数の知財の蓄積と先端技術を掛け合わせたコンバージェンスを加速することが急務であり、今すぐ取り組むことで、将来の生存確率を高めることができるでしょう。
では、コンバージェンスの実現には、具体的にどうすれば良いのか?
コンバージェンスが生まれやすい環境(以下、”コンバージェンス環境”と表現)には、一定の法則があり、それに沿った対策をするのが重要です。
コンバージェンス環境構築は、大きく社内と社外に分類できます。
まず社内施作についてご説明します。
コンバージェンスは、これまでの延長上から逸脱する発想が必要になるため、縦割りの組織では実現困難です。そのため部署をまたぐ横断的な専門チームを構成する必要があります。創業期の会社ですと、経営陣(創業者や役員)やCTOが兼務することになるでしょう。外部から異業種/職種の専門家をメンバーに招くことも横断的アイデアを生み出すのに有効です。また、上層部が選定したメンバーを固定するのではなく、アイデアや向上心に富んだ人材が流動的に参加できるようにする設計する必要があります。例えばグーグル(Google)には、「20%ルール」というものがあり、「社内で過ごす時間の内、20%を自分の担当外の業務の分野に使わなくてはならない」というものです。
チームに裁量権がないと、許可申請や稟議に余計な時間と労力がかかり、コンバージェンスの要となるスピードが失われてしまいます。これでは、新製品・サービスが世に出る頃には、他社の後塵を拝することになります。重大な事案のみ経営幹部(社長、役員等)の決裁にするなど、出来る限り現場への権限移譲をすすめ、意思決定プロセスを簡略化する必要があります。
これまでにない技術の組み合わせで、新しいサービスや製品を生み出す場合、消費者のニーズを探っても、ほぼ意味はありません。理由は、ほとんどの人間は未知の製品・サービスがどのような便益をもたらすかを想像し、評価することは困難だからです。原則、消費者の意見は参考に出来ないので、開発・提供側が、潜在的な便益や価値を定義・提案し、出来る範囲で仮説を立て検証するしかありません。この仮説検証スキルが、コンバージェンス成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。そしてこのノウハウの蓄積が、将来の会社の躍進を左右する大いなる無形資産となります。スティーブ・ジョブズ氏はこの仮説検証の天才とされ、頭の中でそのほとんどをシミュレーションし不要な仮説を棄却することで、有力な仮説のみに絞り込み、時間を浪費せず、最短距離でイノベーションを生み出しました。
上述のように、従来にはなかったサービスや製品を生み出す際には、事前にニーズを推し量ることは困難なため、仮説検証プロセスのPDCAサイクルを繰り返し、学習を積み重ね、精度を向上させる必要があります。そのため、短期的に業績に繋がることは稀であり、長期的視野が重要になります。短期的に評価する場合、業績を評価するのではなく、仮説に市場や生活スタイルを変えるインパクトがあるか、十分なフィージビリティが伴っているかなど、プロセスの高度化やノウハウの向上などに着目すべきでしょう。
プロジェクトが成功した暁には、利益が還元される仕組みがないと、チームのモチベーションの維持は困難です。プロジェクトの成果が自身の成功に直結するという感覚を持つと、仕事に意義や達成感を感じるようになり、やる気が向上。日常的にアウトプットが増え、転職や離職率が大幅に低下します。利益の一部をボーナスとして支給、ストックオプション発行など、各社の実情に応じて報酬体系を設計する必要があります。
以上の社内環境構築は、組織の構造改革を伴うため、全体の意思統一が必要であり、すぐに仕組みを整えるのは容易ではなく、時間を要するかもしれません。
しかし以下の“社外環境構築”は、社内の構造変化を伴わないため、ほとんどの会社ですぐに導入可能です。
次に社外施作の要点についてご説明します。
なぜ社外施作が必要か?というと、自社の技術的リソースや人材だけに限定すると、業界横断型の思考や跳躍型思考が困難となり、コンバージェンス構想の範囲が狭まり、ほとんどが従来の延長上でとどまってしまうからです。
例えば数々のイノベーションの生みの親、Apple(アップル)社のCEOスティーブ・ジョブズ氏は、興味のある技術や製品を持つ他社を積極的に訪問し、開発者から直接話を聞くなど、創業期から外部技術をいかに取り入れるかを常に考えていました。日本ではSONYの創業者兼会長、盛田昭夫氏に大きな影響を受け、1979年にはじめて盛田氏と会ったジョブズ氏は、ウォークマン(WALKMAN)にいたく感銘を受け、その場で分解したという逸話があります。またMACの工場を作る際にはソニーの工場を参考にしたとされます。さらにiPodを“21世紀のWALKMAN”と周囲に語っていたそうです。
アップルを追われたジョブズ氏は、その後、ソフトバンク創業者 孫正義氏の恩人でもある、Sharp(シャープ)の伝説のエンジニア、佐々木正氏に会うために来日。佐々木氏に“今後進むべき方向性”を相談し、そこで後のiPod、iTunes、iPhoneのアイデアを話したとされます。
佐々木正氏の座右の銘は“共創”であり、この共創のDNAを受け継いだジョブズ氏は、利用者に“まだ見ぬ価値を提供する”という観点から、社内リソースに限らず、活用できるものは外部から何でも取り込み、見事にコンバージェンスを体現しました。日本の先人達の技術や考え方がその後のアップルの飛躍を支えたとも言えるでしょう。
このように効率良くコンバージェンスを実現するには、自社に欠けている構成技術を的確に認識し、その技術を外部から導入する必要がありますが、そのためには、有望企業に瞬時にリーチできる環境の構築(例えばSNSやBtoBマッチングの活用など)が重要となります。
なぜ、これまで様々なビジネスマッチングやSNSがあったのに、あまりコンバージェンスの活性化に繋がらなかったのか?
既存サービスは、コンバージェンスを阻害する複数の課題を抱えています。
一つ目の課題は、既存の枠組みに囚われない柔軟な思考をもった創業期の経営者やスタートアップなどが、気軽に参加できるサービスがほとんど無いということ。
例えば従来型マッチングサービスは、利用料が「アポ一件取得あたり平均5万円程度」と高額に設定されています。
高額費用を支払える企業の決済者や役職者などに絞ると、資金力や人材が不足している起業家やスタートアップは、多くが参加できずに、埋もれてしまうリスクがあります。 つまり、創業期のスティーブ・ジョブズ氏やラリー・エリソン氏のような、まだ見ぬ天才達にリーチする可能性を捨ててしまうのです。これでは、コンバージェンス活性化の土台となる、イノベーターの力が十分に発揮されません。
二つ目の課題は、業種・職種の多様性です。異なる背景や属性の人が集まることも、コンバージェンスやオープンイノベーションを活性化する重要な要素です。
破壊的イノベーション (disruptive innovation)に関するNASAでの研究によると、高い能力をもった均一な人材で構成されるチームより、能力は平均的だが多様な人材で構成されたチームの方が、より高いパフォーマンスを発揮する結果となりました。
従来型サービスでは、参加者が決裁者や役職者に限定されているケースなどが多く、これでは、技術者同士や異職種間などの交流が困難となるため、革新的アイデアが生まれにくい環境となってしまいます。
三つ目の課題は、アクセシビリティです。キーパーソンが検索しにくい、間に紹介者が介在する、スケジュール調整に時間を要する等の理由で、必要な人材にすぐにアクセス出来ないことも阻害要因になってしまいます。
これらの課題を解決するには、
以上の条件を兼ね備えたサービスが必要です。
そこで新たに生まれたのが「コンバージェンスを加速し、破壊的イノベーションが次々と生まれる環境を整える」ことをビジョンに、創業間もない企業でも負担なくご活用頂けるビジネスマッチングBizApo(ビズアポ)です。
以上の特長により、従来の課題点を解決。
同時に、新規取引先やリードの獲得、アライアンス構築など
営業や販路拡大の課題解決も期待できます。
またBizApoは、マッチング精度や効率を高める、複数の先進機能を実装。アポイント取得や集客の効率が飛躍的に向上しています。
本格化する破壊的イノベーションの嵐を恐れず、チャンスに変える一助となれば幸いです。